妻と離婚した建築家のデヴィッド(コリン・ファレル)は、独身者専用のホテルに入れられた。45日間以内にパートナーが出来なければ、動物に姿を変えられてしまう。お互いの共通点がなければパートナーとして成立しない。パートナーは同性でも異性でも構わない。
この映画は「男女の共通点」というのが味噌なんでね。
身体的な共通点や精神的な共通点とかね。45日過ぎても独身だったら動物に変えられますが、希望する動物になれるルールです。パートナーは同性でも良いですがバイはダメのようです。
デヴィッドの、犬に変えられてしまった兄と共にこの奇妙な生活が始まった。ここで、足の悪い男(ベン・ウィショー)と、吃音の男(ジョン・C・ライリー)に出会う。
兄貴がリアルに犬なんです(笑)
足の悪い男に何の動物になりたいか聞かれて、デヴィッドは「ロブスター」と答えた。 吃音の男は「オウム」になりたいと言う。
ロブスターは長生きで生殖能力が死ぬまで衰えないらしい、ホントかよ!!(笑) アタシは猫になりたい(笑) 「岩合光昭の世界ネコ歩き」が好きだニャー
ホテルでは、滞在日数を増やすために森で独身者狩りを行ったり、カップルを作るために教育やダンスパーティなどが催された。
独身は罪なのです。
独身者をひとり捕獲すると滞在日数が1日延長されるルール。
ホテルに来て2日目、足の悪い男は鼻血の出やすい女(ジェシカ・バーデン)とカップルが成立した。カップルが成立すると、ダブルベッドがある部屋に移り、2週間を過ごす。次に湾内にあるヨットで生活した後、問題がなければ街に戻ることが出来るのだ。
「鼻血の出やすい」を共通点にした男女。他になかったのかね、共通点は(笑)
だが、足の悪い男は鼻血が出ないのに出ると偽ってカップルになったのだ。もし、この偽りがばれれば罰として、誰も望まない動物に変えられてしまう恐れがあるという。
「鼻血の出やすい」は男の嘘。
デヴィッドは、パートナーを見つけるには共通点を作り出すことが早道だと悟り、サイコパスな女(アンゲリキ・パプーリア)に狙いをつける。冷徹なふりをして彼女に近づき、カップルを成立させた。
身体的な共通点ではなく、精神的な共通点も認められるルールってことがわかる。女は独身者狩りで140日以上の滞在日数を獲得している。人間を狩ることにためらいがない冷徹な女なのだ。
しかし、ダブルベッドのある部屋に移ったその夜、愛する兄(犬)を無残にも、サイコパス女に殺されてしまう。これに激怒したデヴィッドは、メイド(アリアーヌ・ラベド)と共にサイコパス女を麻酔銃で眠らせ、動物に変えてしまう。
サイコパス女が死にそうな犬(兄)の鳴き声のものまねをする場面は怖かった。サイコパス女はポニーに変えられてしまいます。
その後、デヴィッドはホテルから森へ逃亡した。独身者たちのリーダー(レア・セドゥ)に助けられた。しかし、この森では、「一生独身でいられるが、ナンパ目的で異性と話をしたり一緒にダンスをすることは出来ない」という掟があった。
リーダーは女性です。連合赤軍の永田○子のような執拗さ、冷酷さ、残虐さ。
デヴィッドは、森で近視の女(レイチェル・ワイズ)と出会い、初めて恋に落ちてしまいます。
デヴィッドも近視です。そこを共通点にして彼女に接近します。
だが、イチャイチャしていることがばれた場合には罰として「赤の接吻」が与えられるという。双方の唇を切ってキスさせるらしい。デヴィッドは、2人にしか分からないサイン(手話のようなもの)を作って会話をするのだった。
「双方の唇を切ってキスさせる」って、連合赤軍の「総括」か!!(笑)
数日後、独身者たちのリーダーの家に男女4人で同僚として里帰りすることに。だが、デヴィッドと近視の女は必要以上にリーダーの親の前でイチャイチャしてしまい、リーダーから恋人同士であると疑われてしまう。
露骨にイチャイチャする演出なんです(笑)
リーダーは近視の女を呼び出して近視を治すレーザー手術だと偽って、失明させてしまう。こうして光を失った彼女はショックを受けるが、デヴィッドは献身的に彼女を支え続けた。
ここでデヴィッドとの身体的共通点である「近視」がなくなってしまうわけです。
次に独身者たちのリーダーは、パートナーとして成立した者たちへ復讐する。
この場面がよくわからない?? 偽ってパートナーになった者達を断罪するということらしいが……独身者達にとって何のメリットもない。むしろパートナーになれば独身者狩りに参加しないのだから歓迎すべき存在だろう。
失明した女と共に森から脱出し、街へ向かった。夫婦を装い、街のファミリーレストランに入った2人。店員にナイフとフォークを借りたデヴィッドは、トイレに行き、失明した女と同様に視力を失うため、自らの瞳にフォークを………
パートナーが失明したから、自らも失明する、そこに共通点を求めるか? いくら何でも無理過ぎるでしょう!(笑) 
失明した女はデヴィッドが戻るのを待っていた。
失明した女を固定したカメラが長回しで撮っています。デヴィッドは戻って来ません。映画はここで終わります。観客の誰もが「デヴィッドは逃げやがったな」と思うでしょうね。後味の悪いエンディングでした。
 
奇想天外な設定のSFサイコパス恋愛映画ですが、設定したことが完全に昇華されないまま終わってしまったような映画です。お互いがひかれあう感情を「共通点」として認識できない恋愛音痴な男女の滑稽噺。映画祭の審査員にウケるような風刺とかブラックユーモアが効いた演出です。