【作品概要】 『ロープ 戦場の生命線』(A Perfect Day)は、2015年のスペイン映画。脚本・監督はフェルナンド・レオン・デ・アラノア。パウラ・ファリアスの小説『Dejarse Llover』を原作としている。 1995年、停戦直後のバルカン半島。ある村で井戸に死体が投げ込まれて生活用水が汚染され、国際活動家「国境なき水と衛生管理団」のマンブルゥらが現地に派遣される。しかし死体を引き上げている最中にロープが切れてしまい、代わりのロープを探しに行くことに。1本のロープを求め、武装集団や地雷の恐怖にさらされる危険地帯へと足を踏み入れるマンブルゥたち。やがて不良にいじめられていた少年ニコラと一緒に彼が住んでいた家を訪れたマンブルゥたちは… |
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ワシントンD.C.の連邦議事堂にて、スパーリング上院議員による聴聞会が開かれていた。 |
これがラストのシーンにつながっています。
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証人はロビイストのエリザベス・スローン。彼女は、大手ロビー会社コール=クラヴィッツ&ウォーターマンに在籍していた際に手掛けた仕事で、不正を犯したのではないかという嫌疑をかけられていた。 |
この裁判は仕組まれたものです、しかし、それはエリザベスにとって想定内のことです。
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「敵は君をあおり、怒らせようとする」と忠告する弁護士に対して、エリザベスは「証人台に立ったら壁になるわ」と答えるのだった。 |
「壁」の意味がラストで明らかになります。凄い強力な「壁」になります。
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聴聞会から遡ること3ヶ月と一週間前。コール=クラヴィッツ&ウォーターマンに所属し、敏腕ロビイストとしてならすエリザベスのもとに、銃擁護派団体の代表者であるサンドフォードが仕事を依頼してきた。 |
サンドフォードはいかにも銃が好きそうなジョン・ウェインのような白人の爺さんです(笑)
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「新たな銃規制法案に対し、女性たちに向けた新しい組織を作りたい。あなたが、女性たちを銃器保全賛成者に変えるのだ」。サンドフォードが語った途端、エリザベスは爆笑した。 |
人を小馬鹿にしたような笑い方。そこまで笑うか!!(笑)
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サンフォードの依頼をけんもほろろに断ったエリザベスに対して、上司のデュポンは激怒した。エリザベスが考えを変える様子がないのを見て取ったデュポンは「サンドフォードの要求に応える気がないならここにいてもらう必要はない」と通告するのだった。 |
会社としては、莫大な資金力を持つ銃擁護派団体をお得意様にしたいわけです。
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その夜のパーティーを早めに抜け出したエリザベスに男が一人近づいてきた。彼は小さなロビー会社、ピーターソン=ワイアットのCEOであるシュミットだった。 |
ヘッドハントです。
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ピーターソン=ワイアットは、銃規制法案賛成工作に携わっていた。エリザベスは彼の誘いを受け、移籍を決意。コール=クラヴィッツ&ウォーターマンでチームとして働いていた他のメンバーも連れていこうとしますが、彼女についてきたのは、半分の4人だけだった。 |
いかにもアメリカらしいけど… 会社としては痛いね!
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四年間、エリザベスの下で働き、彼女が信頼を寄せる部下のジェーンは、意外にも移籍を拒否。当然、付いて来てくれると思っていたエリザベスはショックを受ける。 |
ここが重要なポイントになりますよ(笑)
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ジェーンはエリザベスの同僚コナーズのチームに加わり、銃規制法案廃止の仕事に従事し、エリザベスとは真っ向から対立する立場となった。 |
エリザベス:法案賛成派、ジェーン:法案反対派
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銃規制法案反対派は賛成派の何十倍もの資金を持っており、非常に厳しい闘いが予想された。エリザベスたちは賛否を決め兼ねている議員たちを取り込むために様々なアプローチを開始した。 |
不眠不休で働くエリザベスです。眠気を醒ますような薬を常用しています。
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一方、ジェーンは四年間エリザベスの下で働いてきた経験から、彼女が狙うだろう議員を先に取り込むよう動き出していた。 |
さすが!エリザベスの右腕!!
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「反対」「賛成」の態度を決めていない議員22名の奪い合いが始まった。 |
この辺は、セリフは多いし、早口だし、場面の切替は早いし、字幕を追うのも大変です!
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エリザベスは一人でフェミニスト団体など、様々な女性団体から1500万ドルの寄付金を集め、シュミットを驚かせた。その一方、エリザベスが自費で盗聴チームを雇っていることを知り、彼は手段を選ばないそのやり方に不安を覚え始める。 |
後に、この盗聴チームが活躍します。 盗聴オタクのような二人組です(笑)
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新たな部下、エズメ・マヌチャリアンの履歴を見て、エリザベスは疑問を抱いた。彼女が通っていたという高校は存在せず、空白期間があるのだ。実はエズメは銃乱射事件の起こったブルーミント高校の生存者だった。 |
この事実を放っておかないのがエリザベスです。勝利のためなら何でも利用します。
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エリザベスは、あまり目立ちたくないという彼女を説得して徐々に表に出していき、彼女がメディアに出ることに慣れてきたのを見計らって、コナーズとのテレビ討論の際に、その事実を暴露した。 |
いきなり「彼女はブルーミント高校の生存者だ!」と公言するのです。
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何も聞かされていなかったエズメは、エリザベスの行為に驚きつつも、銃規制法案賛成派の顔となって、闘うことを決意する。彼女への同情が集まり、世論は銃規制法案賛成に徐々に傾くかのように見えた。 |
エズメは、エリザベスの強引なやり方に反感を持ちますが、成り行きにまかせます。
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そんな時、事件が起きた。銃規制法案反対派の男がエズメに銃をつきつけ彼女を殺そうとしたのだ。その時、銃を携帯していた民間人が、男を射殺。エズメは九死に一生を得たのである。 |
この銃規制法案反対派の男は「ブルーミント高校の生存者は生かしちゃおけない」みたいなことを言っていたような…動機がよくわかりません。
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この事件は大きく報道された。エズメを助けた男は一躍マスコミの餌食となり、銃の必要性が声高に叫ばれ始めた。 |
アメリカ人って単細胞? 「銃がなければいいのに」という方向に考えが及ばないのかね(笑)
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エズメは故郷に帰ることにした。手段を選ばず部下さえも道具にしてしまうエリザベスに対して彼女は「あなたが仕組んだのかとさえ思った。あなたは他人への敬意を失い境界線を超えた」と言い放つのだった。 |
さすがに殺されそうになったわけですから…仕方がないか。
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コナーズたちは、エリザベスの弱みをつかもうと躍起になっていたが、ついにジェーンは、エリザベスがかつて取り上げた案件の書類が彼女を追い込む重大な証拠になるのではないかと気付く。「上院倫理規定の違反を証明できます!」彼女は叫んだ! |
これがメガトン級の罠なのです!(笑)
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聴聞会にかけられることになったエリザベス。スパーリング上院議員は、当初、銃規制法案賛成の立場を表明していたが、デュポンから、銃規制法案反対に回り、聴聞会を仕切れと脅される。「上院議員として一生安泰か、廃業するかどちらかを選べ!」と。 |
スパーリング上院議員はデュポンに弱味を握られているのです。
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弁護士との打ち合わせ通り、当初は合衆国憲法修正第五条を盾に証言を拒んでいたエリザベスでしたが、スパーリング上院議員の挑発に乗ってしまう。そのために証言をせざるをえなくなってしまい、様々な疑惑を追求されることになった。 |
「合衆国憲法修正第五条」 いわゆる黙秘権を行使したわけです。「挑発に乗った」というより、これがエリザベスのシナリオなのです。
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盗聴活動疑惑に関しては、シュミットの証言によって難を逃れるが、聴聞会に一人の証人が招聘されました。男の名はロバート・フォード。彼はエスコートサービスに従事している人物で、実はエリザベスは彼を金で買っていたのだ。 |
キャリアの女性が快楽のために男を買うことが多くなったらしいね
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彼が現れることを聞かされていなかったエリザベスは愕然とするが、フォードは彼女と関係を持ったかという質問にきっぱり「ありません」と答えるのだった。 |
嘘をついたわけですが、、、売った買った以上の関係があったような気もしますので、、、ここは難しいところです。
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しかし、インドネシアの法案に関する件ではさらに厳しい追求が行われた。法案を推進する上院議員が現地に派遣された際の費用は、非営利団体が出したものなので問題ないと答えるエリザベスだったが、スパーリング上院議員は、一枚の書類を差し出した。ジェーンが見つけ出した書類である。 |
スパーリング上院議員が罠にかかりました!
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「その筆跡に見覚えはあるかな?」上院議員は尋ねた。書類に記されているサインはエリザベスが書いたものだった。それは言い逃れの出来ない証拠だった。 |
「上院倫理規定違反」ということですね
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聴聞会も最終段階を迎え、「言いたいことは?」と問われたエリザベス。彼女はゆっくりと証人台にやってくると、水差しの水をコップに汲んで飲み、そして、喋り始めた。 |
ここの場面の演出が素晴らしい! ゆっくり時間をかけて静かに進みます。
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「銃規制強化は正しいことだと思っています。チャレンジ性に興奮し、勝ちたいという願望から引き受けました。勝利への執着から一線を超えてしまった。このことは批判に値します。しかし、投票の際には議会の方は、私のうしろに座る人々を見て投票してください。政界で出世するために投票するのではなく、良心に従ってください」 |
「上院倫理規定違反」は認めますが、ここから反転攻勢の始まりです!!
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さらに続けようとする彼女に長いと忠告するスパーリング上院議員だが、話す権利はあるとエリザベスは続けた。 |
もうエリザベスは止まりません!
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「私に対する個人攻撃が始まるだろうことは予想していました」エリザベスがそう話している途中、その場で彼女をずっと見つめていたジェーンはコナーズに「今後のことを」と話しかけました。今は忙しいという彼に対して、彼女は「辞めます」と紙切れを渡し会場を出て行った。 |
な・な・なんと! こんなところで、こんなタイミングで辞表を提出するかね??
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エリザベスは話しを続けた「勝者は敵の一歩先を行く。私は前の会社を辞める時、密偵を残していきました」 |
ん?
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そう、ジェーンこそ、その密偵だったのだ。彼女は密偵としてコール=クラヴィッツ&ウォーターマンに残り、彼らの動きを探っていたのだ。 |
な・な・なんてこった! ジェーンはスパイだったのです!!!
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「次のアドレスを入力してください。”激震”というファイルをダウンロードしてください!」エリザベスの言葉に従った人々は驚きの声を上げた。 |
エリザベスがIPアドレスを読み上げ、法廷にいた人々がスマホとかタブレットで動画をダウンロードしました。
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そこにはスパーリング上院議員をデュポンが脅している動画が映っていたのだ。議員もデュポンも真っ青になり、聴聞会は大混乱となった。 |
盗聴オタクのような二人組の見事な仕事です。クルマの中でデュポンとスパーリング上院議員が書類受渡しを行っている現場をとらえた決定的証拠となる動画なのです。
これが、映画の冒頭にエリザベスが言った「証人台に立ったら壁になるわ」という意味なのです。銃規制法案反対派にとって痛恨の一撃となったのです。
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それから十ヶ月後。連邦矯正施設に収監されているエリザベスのもとに弁護士が訪ねてきた。 |
聴聞会は大逆転でしたが、インドネシアの法案に関する費用の書類は倫理違反になりますから収監されたのです。
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彼は、まもなくスパーリングとデュポンの聴聞会が始まることを告げ、数ヶ月後に出られるように手配することを約束した。 |
今度は、スパーリングとデュポンが聴聞会で吊し上げられる番です。
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さらに、銃規制法案を可決させるため、自身を犠牲にした理由を尋ねました。「キャリアを捨てる方が命を捨てるよりましよ」と彼女は答えました。 |
これには、ふたつの意味があると思います。銃によって死にたくないこと、そして、いつも命がけで仕事をしているということ。
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「インドネシアの法案に関する書類をチームにふせた理由は?」と問われると、「刑期は5年だから」と即座に彼女は答えました。 |
・・・絶句・・・
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弁護士はふっと笑い「また会おう」 |
映画は、エリザベスが連邦矯正施設から釈放されたところでエンドロールが始まります。この終わり方は「続編」を予感させるものでした。面白い映画でした!!!
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