【作品概要】 『ロープ 戦場の生命線』(A Perfect Day)は、2015年のスペイン映画。脚本・監督はフェルナンド・レオン・デ・アラノア。パウラ・ファリアスの小説『Dejarse Llover』を原作としている。 1995年、停戦直後のバルカン半島。ある村で井戸に死体が投げ込まれて生活用水が汚染され、国際活動家「国境なき水と衛生管理団」のマンブルゥらが現地に派遣される。しかし死体を引き上げている最中にロープが切れてしまい、代わりのロープを探しに行くことに。1本のロープを求め、武装集団や地雷の恐怖にさらされる危険地帯へと足を踏み入れるマンブルゥたち。やがて不良にいじめられていた少年ニコラと一緒に彼が住んでいた家を訪れたマンブルゥたちは… |
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【あらすじ】 「国境なき水と衛生管理団」に所属するマンブルゥと通訳ダミールは、放り込まれた死体による井戸の水質汚染を食い止めるべくロープで引き上げようとしたが、途中でロープが切れてしまう。 |
この死体が巨漢なのです。死体にロープを括り付け車で引っ張るという方法ですが、ロープが劣化していたのです。
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そこへ遅れて合流してきたビーとソフィーと協力し、なんとかして死体を引き上げるべく、再び二手に分かれてロープを探しに行くのであった。 地雷の対処法を読み取れず勢い任せで突破する楽観主義者のビー、新人ゆえに衝撃の数々に動揺が隠せないソフィーであった。 |
この地域は、道路に地雷で爆死した牛の死体があるという状況です。
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マンブルゥとソフィーは道中でサッカーボールを奪われて意気消沈していた少年ニコラを保護する。 八方塞がりとなった衛生管理団は、自宅にならロープがあるという二コラの情報に希望を見出し、二コラの自宅に急行するのであった。 二コラからサッカーボールを奪った悪ガキ達からマンブルゥがボールを取り返そうとすると、相手の悪ガキが懐から躊躇うことなく拳銃を取り出されて引くしかなかった。 |
長引く内線の結果、子供たちも自衛のために拳銃を所持
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水を販売している人達をマッチポンプではないかと疑惑の眼差しで見つめる二コラや、ソフィーの訴えにある程度理解を示しながらも規則に従い地雷の撤去を優先する軍であった。 |
死体を井戸に投げ込んだのは水販売業者の自作自演ではないかと推測するわけです。 地雷の撤去も重要ですが、住民の生活に欠かせない「水=生命線」を優先すべきでは。 軍は規則に縛られて、その時、その現場で、何が最優先されるべきか見失っている。たった一人の死体を撤去するだけなら朝飯前のはず。 |
たった1本のロープが入手できない。 地元民独特のユーモア(首を吊るためにロープが必要)で断っているが、本当は外国人が戦争を運んでくるために戦争を連想させる外国人のビーを嫌がった店員。 国旗を掲げ続けなければ負けを認めることになるとして、国旗を掲げていたロープの提供を断った地元民。 |
要するに「国境なき水と衛生管理団」といっても「よそ者」として見られているわけです。
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二コラの自宅には確かにロープがあったが、それは狂犬を括り付けるためのものだった。麻酔薬入りの餌を食べさせて眠らせようとするが効果はなかった。 二コラの家の中に入ったマンブルゥとソフィーは、二コラを祖父に預けて逃げたはずの母親がロープで首吊りしているのを発見した。そして、死体を下ろしロープを入手した。 |
この事実は二コラには知らせませんでした。
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おかげでロープの入手には成功するが、管轄が軍から地元に変わったことで死体の引き上げが禁止され、引き上げられつつあった死体は再び井戸に沈められてしまう。 |
な・な・なんてこった!! 折角入手したロープが…地元民には死体を引き上げる道具(動力)がない。軍は規則(管轄外)に従うだけで「水=生命線」という基本的な思考ができていない。 |
不本意ながらも、次の仕事場に向かった衛生管理団。 次の仕事はトイレの修復作業だ。雨さえ降らなければ楽勝にもかかわらず、土砂降りとなり複雑な心境だった。皮肉を込めて「完璧な一日」(Perfect Day)と言った。 さらに、皮肉にも雨による増水で井戸から浮かび上がった死体は地元民達の手によって引き上げられたのである。 |
な・な・なんてこった!! ロープはいらなかった(笑)
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ここで、映画はマレーネ・デートリッヒのカバーで「花はどこへ行った」(Where have all the flowers gone?)の歌が流れてエンディング。 |
日本ではピーター・ポール&マリーがカバーしてヒットした反戦歌です。 マレーネ・デートリッヒは英語で歌っていますが、ドイツ語の方が良かったと思いますけどね。 【Where have all the flowers gone】 |
そして、エンドロールととも流れる曲はルー・リードの「There Is No Time」だ。 | 【There Is No Time】 |