先週末から池袋の新文芸坐で「梶芽衣子映画祭」が開催されています。
日替わりで26作品+コンサートのライブ映像1本です。10代の頃、田舎の映画館で観た「女囚さそりシリーズ」、上京後、新文芸坐の前身「文芸坐地下」で観た「野良猫ロックシリーズ」。今回上映される26作品のほとんどは観ています。(劇場版の「鬼平犯科帳」は観た記憶がない)
「梶芽衣子映画祭」は新文芸坐の現支配人・矢田さんの長年の夢を実現させたものだそうです。いい仕事だな、うらやましい!(笑)
客席はさすがにアタシを含めシニア層が多いですが、映画マニアと思しき若い男女のグループも来ていました。「タランティーノがリスペクトする梶芽衣子ってどんな人?」という関心からでしょうか。
16日の初日は映画「野良猫ロック セックスハンター」「女囚さそり701号怨み節」の上映に続いて、梶さんの舞台挨拶がありました。御年71?ウソだろ?若い!若すぎる!! 立ったままおひとりで50分間語りました。舞台挨拶というより独演会のようでした。
以下、要約です。
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- 渡哲也さんと同期。調布の撮影所から布田まで一緒に歩いて帰った。
- 先輩スターの高級車が舗装されてない道路を土煙を上げて走り去るのを見送りながら思った「あんな車に乗れるまで続けられるかな」
- 渡さん曰く「(映画なんて)男が一生やる仕事じゃない!」
- 「明日辞めよう、明日こそ辞めよう」と思っていたが…あれから50年(笑)
- いい企画があれば出演したい気持ちもあるが、撮影に時間がかかり、待ち時間が長いと聞いて、無理だなと思っている。
- 台本なしで現場で作るリアルな芝居と言うが、それならドキュメンタリーを撮ってればいい。映画は脚本ありきだと思う。
- リアリティのある「仁義なき戦い」だってみんなしっかり脚本があって演じている。
- 結局、芝居はワンカット目が一番良い。何度もやると芝居が死んでしまう。
- 初めて会った時、撮影所の入口でホウキで掃いているおじさんが三船敏郎さんだった。
- 昔は撮影所システムで役者やスタッフを育てた。今は人材がいない。勉強していないように思う。
- 映画は単純明快で誰が観ても楽しめる娯楽作が一番。でも、そういう映画の方が本当は難しい。
- 「仁義なき戦い/広島死闘編」の撮影現場が大変で胃痙攣で倒れてしまった。深作監督曰く「みんな俺の作品に出たら一度は胃痙攣になるんだよ」
- 川谷拓三(拓ぼん)曰く「生まれ変わったら監督になって深作を俳優でメッタメタにコキ使うたる!」
- 大映が好きで、特に若尾文子さんに嫉妬するほど憧れて何本も観ていた。
- 若尾さんを撮っている増村保造監督の作品が好きで、いつか監督の作品に出たいと思っていた。
- 増村監督は演出が観念的で難しく厳しかった。自分の力不足を感じた。
- 増村監督に「歌舞伎」と言われ、それから歌舞伎を観まくった。
- テレビの「鬼平犯科帳」は映画の撮影現場と似ていてとても楽しかった。
- 映画を知っているスタッフが作るテレビドラマは面白い(「相棒」「あぶない刑事」)
- 舞台の芝居は嫌いです!(客席に向かって芝居ができない)
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正直に言って、今の時代、女優・梶芽衣子を納得させる監督・作品はあるのだろうかと思いました。出演のオファーも来ているようですが、納得できる企画がないそうです。若手の監督じゃ太刀打ちできないでしょう。逆に、梶さんが惚れ込むような若手の骨太の監督が出現することを期待します。
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今週末も新文芸坐に行きます。特に、23日(土)は、今年3月に行ったコンサートのライブ映像『梶芽衣子 Concert at ReNY』(70分)の特別上映があります。信じられないほど若々しい歌声!本当に70オーバーか?!
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