先週、WOWOWの連続ドラマW『黒書院の六兵衛』が終わりました。
浅田次郎の同名小説のドラマ化。脚本は「新参者」の牧野圭祐、監督は李闘士男。

【全体のあらすじ】

 慶応4年、幕府と新政府の談判が成り、江戸城は不戦開城と決した。官軍側についた尾張藩の気弱な下級藩士・加倉井隼人は、城の引き渡しを支障なく進めるための先遣として、城内に検分に入る。しかし、困ったことにただひとり、てこでも動かぬ旗本がいた。彼の名は的矢六兵衛。将軍直属の警護隊・御書院番の番士だった。六兵衛は黙って正座したままで、動くのはほぼ用を足すときだけ。勝海舟と西郷隆盛の約束により、近々に御所となる予定の城内での悶着は厳禁。つまり、力ずくでは六兵衛を退去させられない。居座りの意図を探る加倉井は、この六兵衛は本物ではなく六兵衛の名をかたる偽者だと知り、ますます混乱する。だが、しばらく時を過ごすうちに、古式ゆかしい貫禄でたたずむ六兵衛に対し、加倉井の胸裏には得体の知れぬ共感が湧いてくる。果たして六兵衛の居座りの理由とは。その正体とは。そして、明治天皇入城が迫る中、加倉井はどう手を打つのか。

【全六話のあらすじとテキトーなコメント】

【第一話 あらすじ】 江戸定府の尾張藩士・加倉井(上地雄輔)は不戦開城と決まった江戸城内検分の先手として遣わされることに。そこで勝海舟(寺島進)から、口を利かぬまま居座りを続ける将軍直属の御書院番士・的矢六兵衛(吉川晃司)に懸念ありと聞く。その者はある時点で本物と入れ替わった正体不明の者との証言も。六兵衛排除の任を負わされる加倉井だが、御所となる予定の城内では一切の力ずくは厳禁。果たして六兵衛の正体・目的は?

本物の的矢六兵衛は、だらしのない遊んでばかりの男。
正体不明の的矢六兵衛の手が荒れている。不可解!

【第二話 あらすじ】 目を離した隙に分不相応な部屋に居場所を移す六兵衛。手を焼く加倉井は、妻・しずゑ(芦名星)の助言で六兵衛の屋敷を訪ねるが、父・清右衛門(田中泯)には去れと脅され、妻(若村麻由美)も多くを語らぬなど、謎は深まるばかり。われ関せずと六兵衛はさらに格式高い部屋・帝鑑の間に移動。西郷隆盛(竹内力)率いる勅使の入城が迫る中、刃傷沙汰だけは回避せんと、加倉井は決死の覚悟で脇差預かりを六兵衛に申し出る。

妻(若村麻由美)の手が荒れている。
お百姓さんのような労働者の手。不可解!

【第三話 あらすじ】 入城した西郷が、こともあろうに六兵衛が居座る帝鑑の間を見たいと言いだし一触即発の危機に。さらに天璋院(前田亜季)や尾張藩主・徳川慶勝(千葉哲也)までもが六兵衛を見ようと姿を現わし、加倉井は生きた心地がしない。そんな混乱にも動じず、六兵衛の居座りは大廊下御詰席から溜間、より格式高い御部屋へとどんどん出世していく。一方、荒ぶる彰義隊たちが上野に集結。官軍との戦の火ぶたが切られようとしていた。

入れ代わり立ち代わり見物人が…
パンダのように人気の六兵衛。

【第四話 あらすじ】 上野戦争は大村(波岡一喜)の作戦により官軍の圧勝。非情だが平和実現の理もあった。一方、高利貸しの淀屋(伊武雅刀)から、五千両で今の六兵衛に旗本株を売ったという証言あり。六兵衛の居座りにも哀切の念がにじんできた折、城内でうなぎが振る舞われる機会が。加倉井らの情にほだされた六兵衛もかば焼を口にする。人心地ついたのもつかの間、六兵衛は黒書院へと移動。そこは将軍職を御前とする最も畏れ多い御部屋であった。

五千両を払える正体不明の的矢六兵衛は不可解!
オカマのような淀屋を演じた伊武雅刀は不気味(笑)
涙を流しながらかば焼を食べる六兵衛…旨そう!

【第五話 あらすじ】 粗食続きがたたってうなぎで腹を壊し、図らずも生命の危機にひんする六兵衛。意地で服薬を拒否するが、幼少の徳川家達が現われ、家族のためにも生きてほしいと説得する。その家族たちにもおのおのの想いが。しずゑは主人の生還を一途に願い、六兵衛の妻は主人に殉ずる覚悟。そして清右衛門はついに、六兵衛が家族ごと成り替わった経緯を語る。天皇入城前夜、すべてを受け止めた加倉井は六兵衛相手に万感の杯を傾ける。

毎日、にぎりめしだけのような食事だったので、
突然のうなぎで胆汁が出過ぎてしまった。

【最終話 あらすじ】 ついに明治天皇(片岡千之助)が入城、公家や新政府の顕官の姿で城内の景色は一変し、彼らも旗本の亀鑑として居座る六兵衛の噂を聞き付け今後の処遇を談議するが妙策は見つからない。しびれを切らした強硬派の木戸孝允が力ずくでの六兵衛排除に動くが、なんとそこに天皇その人が現われてしまう。六兵衛と明治天皇、対峙する新旧の時代。六兵衛の本当の目的とは? 加倉井との絆の行方は? 雷鳴とどろく江戸城に血は流れてしまうのか?

六兵衛と対峙した明治天皇がひと言「○○○」
そのひと言だけで六兵衛の「義」が報われたような演出!
そして、六兵衛と加倉井との別れのシーン … 号泣!!
嗚呼、もう何も言えねぇ、何も言いたくねぇ…(笑)

【率直な感想】

 素晴らしいドラマでした! 録画してまで観たいドラマはほとんどないのですが、このドラマは全6話をオンタイムで観た上に録画までしていました。 まったくセリフのない吉川晃司さんの演技、逆に、セリフが半端なく多い上地雄輔さんの演技、二人の演技が対照的で面白い。上地さんについては、松坂投手のボールを受けていた高校球児で、歌手・タレントという認識しか持っていなかったのですが演技力もありますね。御見逸れしました。あと、田中泯さんや伊武雅刀さんなどの存在感半端ない共演者も良かったですね。田中さんの「われらは的矢六兵衛という一閃の光芒を見た!」というセリフにシビレました!! 音楽を担当したcobaさんのOSTも良かったです。哀愁を帯びたアコーディオンが六兵衛の心象を表しているようでした。まだご覧になっていない方はWOWOWオンデマンドでどうぞ。いずれ再放送もあるでしょう。断然おススメのドラマです!

WOWOW「連続ドラマW 黒書院の六兵衛」プロモーション映像