【No.16】

2025年10月23日 大槻ケンヂ(筋肉少女帯)





✖.com
【インタビュー・サマリー】 ※誤字・脱字はご容赦を

● オープニングと医者にオカルトを止められた経緯

筋肉少女隊の大槻ケンヂが文化放送のラジオ番組にゲストとして登場し、新曲「医者にオカルトを止められた男」が紹介された。


大槻は多数の原稿を執筆しているため、自分が書いた内容を覚えていないことが多く、ディープパープルのバーンに関するエピソードも忘れていた。
心療内科の隣の内科医から、メンタルバランスを整えるためにオカルトへの興味を減らすようアドバイスを受けた。
医師の指示に従い一時期オカルトから離れたが、UFOなら夢があって良いとドクターストップが段階的に解除された。
心霊や呪術よりもUFOの方が精神的に影響が少ないという医師の判断があった。
同タイトルのエッセイ集「医者にオカルトを止められた男」が二見書房から発売された。


● オカルトとの出会いと変遷する立場

大槻はユリ・ゲラーやノストラダムスの大予言の直撃世代で、子供の頃は呑気なビリーバーだった。
母親から「ノストラダムスという人が出て世界が滅びる」と聞かされ、当時はほとんどの人がノストラダムスの予言を信じていた。
80年代半ばから現象の真偽ではなく、なぜ人々がオカルト体験を語るのかという視点に興味を持つようになった。
90年代は懐疑派として活動し、その後は無責任面白がり派に転向した。
トランプ大統領やQアノンなど政治家がオカルトを選挙利用する現状に直面し、無責任ではいられなくなった。
陰謀論を信じた真面目な父親がピザ店を襲撃する事件など、オカルト信仰が現実の悲劇を生む状況に困惑している。

● 90年代オカルトブームと超能力現象

90年代にはユリ・ゲラーや木村愛子など超能力者が多数テレビに出演していた時代だった。
武田の母親はユリ・ゲラーのテレビ番組を見ながらスプーンを90度以上曲げることに成功し、超能力があると周囲に言っていた。
スプーンはてこの原理で曲がるが、できる人とできない人が明確に分かれ、大槻自身は種を聞いてもできない。
自称超能力者の多くはマジシャンで、プロレスのように強いと言われ続けるうちに本当に自分が超能力者だと思い込むケースがある。
行方不明者を霊能力者が探す番組が人気で、実際に遺体が発見されたケースもあった。
再現VTRの怖い映像手法が、現在の心霊フェイクドキュメンタリーのルーツになっている。

● 不思議な体験と老婆型宇宙人説

大槻は20代の頃、深夜に老婆と少女が訪ねてきて「世界が滅亡する。それを知っているのは大槻ケンヂとデーモン小暮と天地茂」と告げられた。
老婆は2度訪問し、2度目は大槻が逃げるほど危機感を覚えた。おそらく孫娘が筋肉少女隊のファンで祖母が天地茂のファンだったと推測される。
武田は吉祥寺と三鷹の間で老婆に「海はどっちですか」と聞かれ、東京湾の方向を指し示した経験がある。
大槻は老婆型の宇宙人説を提唱し、MIB(メンインブラック)のようにトンチンカンな行動をする宇宙人の可能性を指摘した。
最近はUFOをUAPと呼び、空軍だけでなく海軍も調査しており、宇宙人が水中から来ているという説が浮上している。
老婆が海の場所を尋ねたのは、水中に帰るための確認だった可能性があるという解釈が示された。

● オカルトの三つの魅力と否定派の問題

オカルトの魅力の一つ目は、真相を考え尽くしても絶対に真相がわからない点にある。
二つ目は古今東西あらゆる物事がオカルトを通じてつながっていく点で、岡山とアンパンマンなども結びつく。
三つ目はリスクを冒してまでとんでもない事件を語る人々の動機を考えることが興味深い点である。
UFO目撃や体験を語ったことで職を失ったり離婚に至ったりした人々が多数存在する。
消防署の所長が宇宙人を見て写真も撮ったが、若者のいたずらと説明されても「別の本物の宇宙人を見た」と主張し続けた。
90年代の否定派・懐疑派も無理な否定の仕方をしており、まつげの見間違いなど不合理な説明で片付けようとする問題があった。

● 音楽とオカルトの関係性

CDに幽霊の音が録音されているという現象を集めている人がいるが、大概は何も聞こえないかラジオノイズである。
大黒摩季の「あなただけ見つめてる」に囁き声が入っているという都市伝説があった。
大槻はミュージシャンとしてレコーディング工程を熟知しており、トラックダウンの段階では別の音が入ることはありえないと断言する。
マスタリングという最終工程でのみ、謎の音が忍び込む可能性があると指摘した。
マスタリングは微細な音の違いを専門家しか判別できない作業であり、大槻はこの工程自体がオカルトだと考えている。
オカルト的な作業であるマスタリングに超常的な何かが惹かれてくるのではないかという独自の理論を展開した。

● 超地球人理論とオカルトの本質

大槻は最近ビリーバーになってきており、宇宙人は宇宙人ではなく「超地球人」だと考えている。
妖精、宇宙人、幽霊、妖怪は全て同じ存在で、この次元とは違う次元に同時存在する何かが意図不明のいたずらを仕掛けている。
彼らに明確な意図はなく、いたずらを仕掛けること自体が目的であり、だから人類はまだ乗っ取られていない。
1947年の空飛ぶ円盤以前から様々な形で現れており、最近は空飛ぶ謎のドローンとして時代に合わせて姿を変えている。
オカルトはプロレスと同様に、真偽を超えた物語性に人々が惹かれており、辛い現実から魂を救うために作り出された物語である。
トランプ大統領がUFO情報を公開するかもしれないが、政治利用なのか本当に信じているのかをしっかり見極める必要がある。

● クロージングと告知

筋肉少女隊は現在ツアー中で、今週末に東京・豊洲PITでライブを行う。
11月1日土曜日には仙台でもライブが予定されている。
エッセイ集「医者にオカルトを止められた男」が二見書房から発売中である。
番組では大槻ケンヂのオカルト観、超地球人理論、音楽とオカルトの関係など幅広いテーマが語られた。
大槻ケンヂと武田鉄矢の初対面インタビューは、オカルトを通じて人間の本質に迫る内容となった。