【No.36】2025年12月2日 絲山秋子(『細長い場所』作者)



✖.com
【インタビュー・サマリー】 ※誤字・脱字はご容赦を

◆ ゲスト・絲山秋子と武田砂鉄の関係

 ▪︎並々ならぬ“やっと会えた感”で対面。
 ▪︎絲山氏はゴールデンラジオ時代から武田氏の番組を愛聴。
 ▪︎飼い犬の看取りの夜、武田氏の過去放送を朝まで聞き続け心を保った経験を語る。

◆ 群馬県民手帳の話題

 ▪︎絲山氏が“お土産”として持参。
 ▪︎都道府県で販売されている県民手帳の一種で、統計資料が非常に豊富。
 ▪︎群馬県民が東京で迷わぬよう 「東京メトロ路線図」 が載っているユニークな仕様。
 ▪︎群馬のマスコット「ぐんまちゃん」が表紙。

◆ ラジオパーソナリティ経験

 ▪︎ラジオ高崎「絲山秋子のゴゼンサマ」:3年間担当(ほぼ1人制作)
 ▪︎選曲や構成を自分で行い、朝からシド・バレットを流すなど独自性の強い選曲。
 ▪︎放送後は必ず「やさぐれ時間」を1時間設け、テンションを元に戻していた。
 ▪︎生放送のテンションと、素のテンションのギャップを整える大切な時間だった。

◆ パンダの着ぐるみのエピソード(働き方・感情労働)

 ▪︎会社員時代、オープニングイベントで“パンダの着ぐるみ”を着た経験。
 ▪︎部長に「どう感じたか?」と問われ、絲山氏は「愛想笑いしなくていいので楽でした」 と答えるが、意図が伝わらず不機嫌にされる。
 ▪︎ここから浮かび上がるテーマ:
   組織が求める“やりがい”の押しつけ
   感情労働を強いる職場構造
   「型」への同調圧力

◆ 新作小説『細長い場所』の特徴と創作姿勢

     

 ▪︎特定の時代・モデル・社会事件に依らない作品。
 ▪︎章ごとに視点・時間が揺れ、抽象的存在(気配・残像など)が登場。
 ▪︎絲山氏が大切にするテーマ:
   枠(名前・肉体・経験・キャラクター)にはまらない生き方
   脳と心のズレ
   型から外れようとすること自体が創作の主題
 ▪︎過去の双極性障害の経験が、「脳が心を守れなくなる瞬間」への感覚として作品に影響している。

◆ 社会性・現代性との距離感

 ▪︎武田氏は作品に「正義」「秩序」「全体主義的空気への違和感」を読み取る。
 ▪︎絲山氏は、意図的な社会批判や政治的主張は込めていないとしつつも、“今を生きる人間としての感覚”が自然と滲み出ることは避けられないと語る。
 ▪︎「秩序の乱れは、別の人にとっては良い変化かもしれない」という視点。
 ▪︎現代のニュースから受ける“不穏”と“漠然とした不安”を日々感じ取っている。

◆ 小説を読む体験についての姿勢

 ▪︎絲山氏の比喩:「緩いキャッチボール」
 ▪︎強い主張や結論を押しつけるのではない。
 ▪︎読者が受け取ったボールを「これはなんの球?」と自分で考える余白を残したい。
 ▪︎読者の解釈が多様であることを歓迎するスタイル。

◆ 番組の締めと告知

 ▪︎絲山氏の過去作『まっとうな人生』文庫版(武田氏が解説)も紹介。