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【インタビュー・サマリー】 ※誤字・脱字はご容赦を 本インタビューのゲストは、スパイスハンター Spiceful Co.代表の樋口実沙氏。 広島県の山間部で五右衛門風呂を使うような自給的な暮らしの中で育ち、2018年の西日本豪雨による地元被災をきっかけに環境問題への関心が高まり、国際NGOへ転職。その後、2023年から約1年にわたり インド・スリランカ・インドネシア・ベトナムなど100軒以上のスパイス生産者を巡って調査を行った。 現在は、スパイスの生産背景の調査、企業への情報提供、サプライチェーン改善、フェアな取引や持続可能な農法の支援に取り組んでいる。 ■ スパイスハンターという役割 ▪︎スパイス生産地に足を運び、「どこで・誰が・どのように作っているか」を把握したうえで調達・情報発信を行う専門職。 ▪︎生産者を直接訪問することで、品質劣化や混合、管理不足などサプライチェーンの課題を可視化し、改善策を模索している。 ■ 樋口氏の経歴と問題意識の形成 ▪︎広島の山間部で育ち、薪を割り五右衛門風呂を焚くような循環型の生活を経験。 ▪︎ニューヨーク系ファッションブランドで 11年間マーケティング職を担当。 ▪︎西日本豪雨後、環境問題に本格的に関わるためNGOへ。 ▪︎カレー好きが高じてスパイス生産地を訪問するようになり、のちに独立。 ■ 各国の調査と発見 ● 中国(八角・花椒) ▪︎八角(スターアニス)の世界生産の主要地である中国を訪問。 ▪︎花椒(ホアジャオ:山椒)の収穫現場も調査。 ▪︎農家の高齢化(50代以上中心)が顕著で、中国政府は助成金などで生産維持を支援。 ● インド(カルダモン・クミン・コショウなど) ▪︎インド全土を巡り、森で育つスパイス(カルダモン・コショウ)や畑栽培のスパイス(クミン・コリアンダー)を調査。 ▪︎公設市場での集荷、仲買人による取引など、長いサプライチェーンの複雑さが品質劣化を生む要因と把握。 ▪︎気候変動の影響が深刻 クミン:本来乾燥期に雨が降り、収穫量が1/3に減ったケースも コショウ:線虫被害が世界的に増大 ■ 生産者と農法の多様性・課題 ▪︎中国・インドネシアでは小規模農家から「コレクター」が買い集める方式も、管理不足により 香りの低下、カビ・菌増殖、品種混在 が起こりやすい。 ▪︎生産者と直接結び、短いサプライチェーンを作ることが品質維持と持続可能性の両立に重要だと強調。 ■ 現地スパイスの紹介と背景 ● シララコントウガラシ(インド・マニプール州) ▪︎燻製香が特徴の希少唐辛子。 ▪︎伝統農法・再生型農業で生産され、風味が豊か。 ▪︎産地には民族衝突などの社会不安があり、生産継続のリスクも存在。 ▪︎現地の女性生産者組合「ゼーノリン」と協働し、日本での紹介に挑戦。 ● ラカドンターメリック(インド・メガラヤ州) ▪︎クルクミン含有量が通常の約3倍とされる伝統品種。 ▪︎加熱せず生のまま天日乾燥するため、香りが華やか。 ▪︎地域で炭鉱開発が進み、環境破壊と児童労働が深刻化した時期に、復興したのが 女性農家トリニティ氏。 ■ スパイスと健康・生活文化 ▪︎インド・中国では「食で身体を整える」思想が何千年も続いており、スパイスも伝統医学(アーユルヴェーダ等)の文脈で使われてきた。 ▪︎ターメリックは古来は薬として扱われた歴史がある。 ■ 今後の展望 ▪︎生産者のストーリーを伝え、持続可能なスパイス産業を支えることが使命だと語る。 ▪︎次に訪れたい産地として、メガラヤ州の“トリニティに触発された農家”、ネパールの山椒(ティムル) を挙げた。 ▪︎スパイスの旅は今後も継続し、note・Instagramで発信を続けていく。 |
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