映画 No.101 ~ No.110


【映画 No.101】

【映画】七つの会議
七つも会議がありましたか(笑)

よくもまあこれだけ豪華なキャストを揃えたもんだ!「カメ止め」が100本くらい作れるくらいの予算だろう(笑) 狂言界の看板、未来の人間国宝・主演の野村萬斎。意外にもこれが初めてのサラリーマン役。敵役は、もはや「国宝級の顔芸」ともいえる圧倒的な存在感の香川照之。そして、、歌舞伎界からは片岡愛之助。落語界から立川談春と春風亭昇太。お笑いからはオリエンルタラジオの藤森慎吾。演劇界からは劇団四季出身の鹿賀丈史、文学座出身の橋爪功、蜷川幸雄門下出身の勝村政信。ミュージシャンからは及川光博、世良公則、岡田浩暉。そして、老いても益々の活躍・北大路欣也。

 率直に面白かった。池井戸潤の原作があるのでネタバレはしないが、簡単に言ってしまえば、売上ノルマ・利益を追求するあまり品質を擬装してしまった企業、例えば、自動車用安全部品を製造していたあの会社を思い浮かべればよろしい。人命に係る部品だ。その擬装を野村萬斎(役名:八角…「やすみ」と読むが周囲からはハッカクさんと呼ばれている)が暴いていくというストーリー。余計なコントや笑いもなく、テンポよく結末に進んでいく。狂言の形をとりいれたような台詞回しと立ち居振る舞いが面白い。香川照之のドアップの顔芸に負けていない。池井戸映画らしいハッタリ演出だ。
 映画の中盤くらいで結末が読めるようになり、結果、ほぼ想定内のエンディングを迎えるのだが、そんなことは気にならないくらい一気に突き進んだ感じの映画だ。しかし、映画の中で7つも会議があったかしら?と疑念を抱く今日この頃である(笑)

評価基準

(2019/2/17)
 

【映画 No.102】

【映画】クレイジー・リッチ@早稲田松竹

先日、久しぶりに早稲田松竹に行ってきた。昨年公開された「クレイジー・リッチ」と「search サーチ」の二本立てだった。まずは「クレイジー・リッチ」について…

【あらすじ】
生粋のニューヨーカー、レイチェル・チュウ(コンスタンス・ウー)は、長年の恋人ニック・ヤン(ヘンリー・ゴールディング)が親友の結婚式に出席するというので、一緒にシンガポールへ向かう。出発当日、空港で案内された先はファーストクラス……なんとニックは、かの国でもとりわけ裕福な一族の御曹司であるだけでなく、社交界の女性たちから超人気の独身男のひとりでもあったのだ。そんなニックの恋人として現れたレイチェルには、嫉妬深いお嬢さまたちからのキツーい視線が突き刺さる。さらに悪いことに、ふたりの交際をよく思わないニックの母親(ミシェル・ヨー)が仲を裂こうと画策し始めるのだった・・・

【感想】
簡単に言ってしまえば、権威主義の母親と独身キャリア女性の争い、格差婚(大富豪と平民)をテーマとした映画。アジア系アメリカ人総出のハリウッド映画という話題性あり。映画の後半、レイチェルとニックの母親が麻雀する場面がある(なぜ麻雀するのか意味不明)。 そこで、本当は勝っているのだがレイチェルがわざと負けてやる。レイチェルはドヤ顔で意味深な捨て台詞を吐いて去っていく。最終的にハッピーエンドの映画なので気分は悪くないが、アッサリ味でコクのない作品だった。ラストは、シンガポールの高級リゾート・ホテル、マリーナベイ・サンズの屋上を貸し切っての親友の結婚披露宴。このシーンは圧巻だった。

評価基準

(2019/2/26)
 

【映画 No.103】

【映画】search サーチ@早稲田松竹

先日、久しぶりに早稲田松竹に行ってきた。昨年公開された「クレイジー・リッチ」と「search サーチ」の二本立てだった。先に見た「クレイジー・リッチ」は大したことはなかったが「search サーチ」は・・・

【あらすじ】
愛する妻パムを3年前に癌で亡くしたデビッド(ジョン・チョー)。今は16歳の高校生マーゴットと二人暮らしのシングルファーザーだ。ある週末、そのマーゴットが友人と宿題をするので帰りが遅くなるというメッセージをのこして忽然と姿を消す。
その真夜中にマーゴットの携帯電話から2回デビッドの携帯電話に着信があったが、眠りこけていたデビッドはそれに気が付かなかった。
翌朝、着信に気が付きデビッドは電話をかけ直すが、マーゴットにはつながらなかった。それ以降、マーゴットとは一切連絡がつかなくなってしまう。マーゴットのSNSやクラスメイト経由で娘の行方を探し始めるが、実はマーゴットが学園内で孤立していたことを知ることになる。マーゴットは何処へ行ってしまったのか・・・

【感想】
いやーーー!面白かった!先に観た「クレイジー・リッチ」の記憶が完全に消去されるほど面白かった。買っていたペットボトルのコーヒーをひと口も飲まずに集中して観ていた。失踪したマーゴットを探すドラマだが、すべてがパソコンの画面の中で展開する。SNSのtumblerやメール、Google検索、GoogleMap、ビデオチャット、スマートフォン、小型隠しカメラからの映像など、情報機器を駆使した捜索が展開する。最近の映画で、スマートフォンでのチャットのやりとりや動画を演出の一部として映し出す映画を観たが、この映画は徹底している。よく考えられた演出だ。事件の真相も結末も納得がいく。無理やりこじつけたような結末ではない。マーゴットは九死に一生を得て生きて帰る。良かった! 父親役の韓国出身のジョン・チョーさんの迫真の演技に拍手!! マーゴットを捜索中に「あの子のことはあまり知らないから…」と冷たく言い放っていたクラスメイトが、マーゴットが救出されて有名になった途端「親友が助かって良かったわ」とインタビューに答えていたことは忘れまい(笑)

評価基準

(2019/2/27)
 

【映画 No.104】

【映画】翔んで埼玉@アリオ川口MOVIX

息子が珍しく映画に行こうというので付き合った。アリオ川口内のシネコン「MOVIX」で公開中の「翔んで埼玉」を観た。連日各回とも満席が続いているらしい。夜9時からのレイトショーに少し空席があったので予約して行ったが、結局その回も満席になった。

【あらすじ】
 出身地・居住地によって激しい差別が行われている、架空世界の日本。東京都区部の名門校・白鵬堂学院に麻実麗という男子学生が転入してくる。容姿端麗で都会的な物腰を身に着け、学問・スポーツ共に優れた麗に学院の学生たちは魅了され、当初は麗に反発していた、自治会長・白鵬堂百美もやがて麗を慕うようになる。

 しかし、麗の正体は埼玉県で一・二位を争う大地主・西園寺家の子息だった。麗の父親は大金を使って麗を東京都の丸の内で証券会社を経営する麻実家の養子にし、さらにアメリカ合衆国に留学させることで都会的な物腰を身につけさせ、ゆくゆくは麗を政治家にして、埼玉県民に対する差別政策を撤廃させようと目論んでいたのだが・・・

【感想】
 この映画、簡単に言ってしまえば、埼玉解放戦線と千葉解放戦線の抗争、そして、埼玉千葉連合が巨大悪・東京都を打倒するという荒唐無稽のドタバタ喜劇だ。実に馬鹿馬鹿しい! が、これが面白かった(笑) スタッフ、キャストが真面目に馬鹿をやっているのだ!! パロディとディスりとギャグがテンポよく飛び出しエンディングまで一気に突っ走った感じの面白さだ。昨年好評だった「カメ止め」より面白い! ワハハハハやガハハハハではなく、ウフフフフとかイヒヒヒヒとかエヘヘヘヘとかいう類の笑いなのだ。しかし、この類の笑いはすぐに冷めてしまうが、この映画の場合、美術・撮影・編集などの頑張りで最後までシラケることなく一定の熱量を保つことが出来ていた。

 この映画は関東圏ローカルのネタばかりですが他府県の方も楽しめるような気がします。主題歌「埼玉県のうた」を歌っているのは佐賀県出身のはなわさんですが、生まれは春日部だそうです。(春日部高校に通っている息子にウケた(笑)) 埼玉県人となって17年ですが、少し≪愛郷心≫が芽生えたような気がします(笑) 住めば都ですね。

評価基準

(2019/3/12)
 

【映画 No.105】

【映画】グリーン・ブック@アリオ川口MOVIX

【グリーン・ブックとは】
 黒人ドライバーのためのグリーン・ブック (The Negro Motorist Green Book または The Negro Traveler's Green Book) は人種隔離政策時代に自動車で旅行するアフリカ系アメリカ人を対象として発行されていた旅行ガイドブックである。書名は創刊者であるヴィクター・H・グリーンに由来し、「グリーンによる黒人ドライバーのためのガイドブック」というほどの意味になる。通常は単に Green Book と呼ばれた。
『グリーン・ブック』は、ニューヨーク市の郵便集配人であったヴィクター・H・グリーンによって自動車で旅行する黒人のために米国で創刊され、ジム・クロウ法下にあった1936年から1966年まで毎年改訂され発行された。当時は非白人に対しての公然たる、またしばしば法的な規定による差別的措置が広範に行われた時期であった。
(以上、wikipediaより引用)

 簡単に言えば、黒人お断りのホテルや黒人専用のホテルなどが記載されているガイドブックで当時の非白人たちにとって「白人に接触しないで安全に旅行するためのバイブル」のような存在だったようです。

【あらすじ】
 1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるイタリア系アメリカ人トニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は腕っぷしはもちろんハッタリも得意で、粗野で無教養だが家族や周囲からは愛されていた。
ある日、トニーは「神の域の技巧」を持ち、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある天才ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のコンサートツアーの運転手として雇われる。まだまだ人種差別が根強く残る時代になぜか、黒人にとって制約と危険の多い南部を巡る8週間のツアーだった。
何もかも正反対な二人が、グリーンブック(黒人用旅行ガイド)を頼りにツアーへ旅立ったのだが…

【感想】
 アカデミー賞作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞したということで見に行きました。いい映画です。アカデミー賞を争っていた「ボヘミアン・ラプソディ」より断然にいい。新文芸坐や早稲田松竹で上映されたら再度観に行きます。確実に!

 トニーが「黒人嫌い」であることはトニーの妻も知っています。トニーは、生活費を稼ぐために仕方なく引き受けた仕事なのです。
 ツアー中、何度かトニーは妻宛に手紙を書きますが「Dear」(親愛な)を「Deer」(鹿)と書くような学力です。見かねたドクターが手伝います。ドクターが慈愛のある魅力的な言葉を口述し、トニーがそれを筆記したのです。映画の最後、クリスマスのディナーでドクターに初めて会ったトニーの妻は「素敵な手紙をありがとう」と言って(トニーではなく)ドクターにハグするのでした。
つまり、「黒人嫌い」だったトニーがドクターと仲良くやっていることを、この手紙は伝えていたのです。「信頼」という言葉を使わず「信頼」を表現した見事な脚本だと思います。

 映画の冒頭、「Inspired by rial story」と映し出されます。この映画は、博士号を持つ黒人ジャズ・ピアニスト、ドン・シャーリーと、高級ナイトクラブの用心棒・俳優・作家などで活躍したイタリア系の白人トニー・ヴァレロンガの2人の実話に基づいています。製作・脚本は、トニーの息子であるニック・ヴァレロンガです。父トニーからドクターとの旅の話を何度も聞かされて育ったというニックは、いつかこの旅の物語を映画にしたいと考えていたそうです。

 ドン・シャーリーですが、まったく知りませんでした。ピアノの才能の他にも8言語の習得や複数の博士号の取得などで「ドクター」と呼ばれたようです。活動のほとんどが自身のピアノ・トリオだけで、他の有名ミュージシャンとの共演がなかったことや、音楽的にも保守的で話題性がなかったために(国外に)知らされなかったものと思われます。

 最後に、トニー役のヴィゴ・モーテンセンはアカデミー主演男優賞にノミネートされていましたが「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレックに持っていかれました。残念ですが、演技力はラミ・マレックよりヴィゴ・モーテンセンの方が上です。(ラミ・マレックのメイクに負けただけ(笑))

 あと、トニー役を日本人がやるとしたらピエール瀧がいいんじゃない?と映画を観ながら妄想しておりました(笑)


(2019/3/18)
 

【映画 No.106】

映画「生きてるだけで、愛」@早稲田松竹

【あらすじ】
 同棲して三年になる寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)。もともとメンタルに問題を抱えていた寧子は鬱状態に入り、バイトも満足に続かない。おまけに過眠症のため、家にいても家事ひとつするわけでなく、敷きっぱなしの布団の上で寝てばかり。姉との電話やメールでのやり取りだけが世間との唯一のつながりだった。

 一方の津奈木も、文学に夢を抱いて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事の執筆に甘んじる日々。仕事にやり甲斐を感じることもできず、職場での人間関係にも期待しなくなっていた。それでも毎日会社に通い、家から出ることもほとんどない寧子のためにお弁当を買って帰る。

 津奈木は寧子がどんなに理不尽な感情をぶつけても静かにやり過ごし、怒りもしなければ喧嘩にすらならない。それは優しさであるかに見えて、何事にも正面から向き合うことを避けているような態度がむしろ寧子を苛立たせるが、お互いに自分の思いを言葉にして相手に伝える術は持っていなかった。

 ある日、いつものように寧子が一人で寝ていると、部屋に安堂(仲里依紗)が訪ねてくる。かつて津奈木とつき合っていた安堂は彼に未練を残しており、寧子と別れさせて彼を取り戻したいと言う。まるで納得のいかない話ではあったが、寧子が津奈木から離れても生きていけるように、なぜか安堂は寧子の社会復帰と自立を手助けすることに。こうして寧子は安堂の紹介で半ば強制的にカフェバーのバイトを始めることになるが…。


【感想】
 寧子は双極性障害です。一日も早く病院に行って治療してほしいと思いました。今は良い薬もあるそうですから、投薬とカウンセリングを続けて障害を克服してほしいと思いました。つまり、そういうリアリティがこの作品に欠落しているのです。津奈木はゴシップ記事の執筆に甘んじているというが「(でたらめな記事のことは)みんなすぐに忘れるから…」と無責任なことを言っている。「無関心」の塊のような男です。とても主人公の二人に共感できませんでした。無知というか不器用というか、二人を見ていてイライラしてきました。そういう映画です(笑)

 しかし、寧子を演じた趣里は良かった! 過眠症のため家でゴロゴロダラダラしている寧子、全身の毛を全て刈りたくなる衝動にかられる寧子、躁になった途端一枚一枚服を脱ぎながら街を走る寧子・・・趣里の存在感・演技力は半端ない! さすがサラブレッド!!


趣里の演技は観る価値あり!
(2019/4/8)
 

【映画 No.107】

映画「愛しのアイリーン」@早稲田松竹

【あらすじ】
 田舎のパチンコ店勤務・42歳の童貞男 岩男(安田顕)がフィリピンに渡り斡旋業者(田中要次)に大金を払ってフィリピーナのアイリーン(ナッツ・シトイ)と国際結婚する。帰国後、少しずつ仲良くなっていくのだが、アイリーンを激しく憎む母ツル(木野花)と、アイリーンに惹かれた地元のヤクザ・塩崎(伊勢谷友介)の思惑が一致して、アイリーンを拉致しようとするが、助けに来た岩男が塩崎を殺害し遺棄てしまう。
塩崎を探す仲間のヤクザたちは岩男が怪しいとにらみ執拗な嫌がらせで精神的に追い詰めていく。岩男はアイリーンに危害が及ぶことを怖れ、あえてアイリーンに嫌われるように突き放す。しかし、岩男はあっけなく雪山で滑落死してしまう。ツルもアイリーンのお腹に岩男の子ども(ツルにとっての初孫)がいることを知るのだが、溺愛した岩男の死を知ったショックで岩男の後を追うようにポックリ死んでしまう。残されたアイリーンは空から「アイリーン、愛してっど」という岩男の言葉が聞こえ雪が舞っている空を見上げるのだった。


【感想】
 この映画ほどオ〇〇コを連呼する映画をしらない(笑)42歳の童貞男の頭の中にはオ〇〇コしかないのだろうか(笑)テレビの地上波放送は無理だなww
 この映画には、地方の過疎化、少子高齢化、後継者問題、嫁不足、売春と買春などの問題が内在しています。フィリピーナの国際結婚は、ひとつの産業のようになっています。善悪を問われようが実際に金で女性を売買しているのです。

 さて、映画の感想ですが、正直に言って長い!!(笑)20分ほど長い!
最初はオ〇〇コしかなかった岩男に「情」がわいてきて、最後は「愛」に発展していきます。その過程を表現するには120分以内では無理だったのか?!残念。
(ぶっちゃけ見合いした日本人女性のところは丸々カットでいい)
映画の前半では調子よく温まってきたのですが、後半どんどん冷めていきました。冬のシーンだったからではありませんよ(笑)

 母ツル役の木野花さんの演技が素晴らしかった!! 流暢な英語を話す地元のヤクザ・塩崎役の伊勢谷友介さんも良かった。アイリーン役のナッツ・シトイさんも体当たりの熱演でした。ただ、主人公・岩男役の安田顕さんの演技が少しわかりにくかった。岩男という男が好きになれない演技だったが、それは狙いだったのかも。

 ちなみに、スクリーンの中で、どこかで見たことのあるような風景が映っていました。エンドロールを見てわかりました。この映画のロケ地は新潟県長岡市近辺だったようです。劇中の花火大会のシーンは、日本三大花火大会のひとつ「長岡まつり大花火大会」のようです。ワタシが生まれ育ったところから20kmくらいのところです。何だか懐かしい感じでした(笑)


陽気なチラシですが、結構重い映画です。
(2019/4/9)
 

【映画 No.108】

マイル22@新文芸坐 2019/4/27

【あらすじ】
 世界を揺るがす危険な物質が盗まれ、その行方を知る男リー・ノア(イコ・ウワイス)が見つかった。重要参考人として保護されるが、彼を抹殺するため、多数の武装勢力が送りこまれていた。彼を国外に脱出させるためジェームズ・シルバ(マーク・ウォールバーグ)率いる CIA の機密特殊部隊(オーバーウォッチチーム)はインドネシアのアメリカ大使館から空港までの 22 マイル(34.5km)を護衛する究極のミッションに挑むのだが…。全方位集中砲火の中、彼らは無事に脱出をすることができるのか!?
それから、いろいろあって・・・
実はノアは、アメリカに寝返った2重スパイと見せかけ、ロシアからインドネシアに潜入し、CIAに殺された同胞の仇討ちをすべく送り込まれた3重スパイだった。やがて司令部にロシアの武装隊が乗り込み、オーバーウォッチチームは、全員皆殺しとなるのだった。

【感想】
 上映時間95分ですが、内容のほとんどはドンパチです。ドンパチは嫌いじゃないので楽しめました。途切れない銃撃音・爆発音がノイズ・ミュージックのように心地よいです。良かったのはそこだけです(笑)
エンディングで唐突にノアが3重スパイということが判明するわけです。無理くり<どんでん返し>にしてしまう強引なストーリーですが、エンディングの頃には、そんなことはどうでもよいと思っていました。すでにこの映画から心が離れていました。

(2019/5/1)
 

【映画 No.109】

蜘蛛の巣を払う女@新文芸坐 2019/4/27

【あらすじ】
 特殊な映像記憶能力を持つ天才ハッカーで、パンク風の特異な風貌、そして背中にドラゴンのタトゥーを入れた強烈な個性の持ち主リスベット(クレア・フォイ)は、天涯孤独で、壮絶な過去を持つ。その過去が、あるキーパーソンによって明らかにされていく。自らの裁きによって悪を正そうとするリスベットに対し、「皆を助けるのに、なぜあの時、私を助けてくれなかったの?」※と意味深な言葉をリスベットに投げかける謎の女、カミラ(シルヴィア・フークス)。カミラもまた、凄惨な過去と秘密を背負った存在だった。二人の関係が紐解かれながら、リスベットはジャーナリストのミカエルとタッグを組み、AIの世界的権威であるバルデル教授が開発した核攻撃プログラムを、アメリカ国家安全保障局(NAS)から取り戻す任務を請け負うのだった。

 ※ 補足すると、リスベットとカミラは双子の姉妹だ。幼いころ、ふたりの父親は「お前たちも大人だ、おいで」と2人を招き、カミラは父親に近付くが、異変を感じたリスベットは、父親から逃げ出したのだった。父親はサイコパスで、カミラを長年にわたり虐待したのだった。

【感想】
 リスベット役の女優さんですが、アクション映画に向いていないと思いました。ショートヘアにして背中にドラゴンタトゥーを入れていますが、彼女の目元が優しいのです。ボディも屈強に鍛えられているとはいえない。シリアスな文芸作品に向いている実力派の女優さんだと思いました。それとは対照的に、病的な感じのカミラ役の女優さんは役柄とピッタリでした。
この映画で一番気に入ったシーンは、リスベットがイタリアのバイク「DUCATI」に乗って凍結した湖上を疾走するところでした。ドゥカティはやっぱりカッコいい。バイク好きの人は、絶対気に入るシーンだと思います。

(2019/5/2)
 

【映画 No.110】

きみの鳥はうたえる@早稲田松竹 2019/4/29

【あらすじ】
 函館郊外の書店で働く「僕」は、失業中の静雄と小さなアパートで共同生活を送っていた。ある日、「僕」は同じ書店で働く佐知子とふとしたきっかけで関係をもつ。彼女は店長の島田とも抜き差しならない関係にあるようだが、その日から、毎晩のようにアパートへ遊びに来るようになる。こうして、「僕」、佐知子、静雄の気ままな生活が始まった。夏の間、3人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑いあう。だが微妙なバランスのなかで成り立つ幸福な日々は、いつも終わりの予感と共にあった――。

【感想】
 ナレーションの「僕」は柄本佑。佐知子は石橋静河。静雄は染谷将太。「僕」と佐知子は「面倒くさくない」範囲の恋人同士。同居人の静雄はまるで空気のような存在。この三人の描き方が素晴らしい! 静雄がレギュラーコーヒーの出し殻を消臭のために灰皿に敷き詰めるシーンが気に入った。さり気ないシーンだが三宅監督は繊細な人だと思った。丁寧な作り手だと思った。函館のクラブのシーンではSIMI LABのHI'SPECやOMSBが登場する。カメラを長回しし、クラブで踊る佐知子の自然な姿が美しい!
 ラストシーン、佐知子が静雄と付き合うことを「僕」に告げる。「僕」はヘラヘラしながら「(自分は)なんとかなるっしょ」「俺、2人に上手くいってほしいよ」と言うが「僕」は自分に対して嘘をついたことに気付く。そして、去っていく佐知子を追いかけ「佐知子が好きだ」と告白する。佐知子は誇らしそうな何とも言えない笑みを浮かべていた……素晴らしい青春映画でした。

(2019/5/2)