映画 No.051 ~ No.060
【映画 No.051】
製作年:1962年 監督:増村保造 脚本:新藤兼人 出演:若尾文子、田宮二郎、水谷良重、弓恵子、藤原礼子 解説: 浅井(田宮)は本妻の柳子にはつくづくいや気がさしていた。嫉妬に泣きわめく柳子との生活を清算しようとする浅井。とうとう浅井は弁護士を立てて柳子と離婚した。浅井と増子(若尾)は前より良いアパートに移った。離婚した柳子は郷里で狂い死にした。そんな時、増子の姪の栄子(水谷)が訪ねて来た。果樹園の息子との縁談を嫌って家を飛び出して来たのだ。栄子は浅井の許しを受けて増子と一緒に生活することになった。増子は子供を生める体に返して貰らう手術をうけるため入院した。その留守中、浅井と栄子は関係を持った。これを知った増子は栄子をはげしくののしり追い出した。だがそれでも不安な増子は芳子と相談して栄子を結婚させることにした。結婚の前日、栄子と浅井は山のホテルで秘密の時間をもった。しかしそれを知らない増子は栄子の花嫁姿を見て満足気だった。 |
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印象的だったのは、田宮が若尾と水谷を誘い「浦和にうなぎでも食べに行こう」と車で行く場面。3人で食べるには多過ぎると思えるほどの蒲焼きの量だった。どう見ても6人前はあっただろう。江戸時代から浦和近郊は沼地が多くうなぎが獲れたそうだ。 田宮と水谷の濡れ場に入院していたはずの若尾が突然現れた。≪女の勘≫というやつである。修羅場である。若尾は髪を振り乱して、水谷につかみかかり、引き倒し、蹴っ飛ばす、水谷も必死に応戦するという大乱闘!!! フツ―であれば、この場面、ギャーーーーとか、ワーーーとか、この泥棒ネコーーーとか、コンチクショーーー、とか嫉妬に狂って泣き叫びながら乱闘すると思うのだが、、、、無言なのだ、、、田宮は茫然と二人の無言の乱闘を見ているだけなのだった。この場面の演出と演技が凄い! 増村監督は若尾文子について「追い込めば本気になって発狂状態を演じてくれる」と語ったそうだが、確かに凄かった。 女は怖い!(笑) |
【映画 No.052】
製作年:1966年 監督:増村保造 脚本:笠原良三 出演:若尾文子、芦田伸介、井上大吾、川津祐介 解説: 昭和十四年、西さくら(若尾文子)は従軍看護婦として天津の陸軍病院に赴任した。その数日後、消灯の後の巡回中、彼女は数人の患者に犯されてしまった。そして、二カ月後、深県分院に転属となった彼女は、軍医岡部(芦田伸介)の指揮の下で忙しい毎日を送っていた。一つの作戦ごとに、傷病兵は何台ものトラックで運ばれてきた。大手術が毎日のように行なわれ、手術台の傍の箱には切断された手足があふれていた。いつしか、さくらと岡部は相思相愛の仲になっていた。やがて岡部は応急看護班を編成して前線にいくことになり、さくらも行動を共にした。しかし、前線を走るトラックは、まだ目的地に着かないうちに、営林鎮集落で敵の包囲を受けた。しかも、極度に衛生状態の悪い集落ではコレラが発生していた。 そして、間もなく、中国軍の攻撃が始まった。そして、圧倒的な中国軍の前に、全員が散っていったのだった。援軍が到着した時、さくらは …… |
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この映画は以前一度観た。いつだったかは覚えていないが、新文芸坐の前身、文芸坐だったように思う。 映画の前半、重症の兵隊の手足を切断するシーンの悲鳴とノコギリの音、目を閉じ、耳をふさぎたくなったが、なんとか耐えた。 映画の後半、若尾が芦田の軍服を着て上官の真似をするシーン。つまり看護婦による上官コスプレである。今日明日死ぬかもしれない極限状態の場面で、コスプレで遊ぶのである。 残酷な殺戮シーンよりこの局面での≪笑み≫のほうが圧倒的な悲壮感がある。凄い演出だ!!! ここが戦場でなければ二人には明るい未来があったかもしれない …… そう思わせてからの、ラストシーンへの突入なのである。 …… この映画は、もう二度と見たくない名作である。まだ観ていない人は一度は観ておくべき名作である。 |
【映画 No.053】
映画がマイブームになってきたかも?!
最近よく映画を観る。昨年公開された「ベイビー・ドライバー」を観てから映画熱が再発したようだ。何回目かの映画のマイブーム到来かも。
最初に映画がマイブームになったのは40年ほど前のことだ。上京して西武池袋線の椎名町駅近くに住んだ。池袋の隣の駅だ。池袋の文芸坐によく通った。2本立てで350円か450円位の頃だ。柔らかい映画から堅い映画まで何でも観た。にっかつロマンポルノ、アクション映画、フィルムノワール、コメディ映画、任侠映画、ATG、洋画邦画問わず文芸坐でかかる映画は何でも見た。毎週土曜日のオールナイトにもよく行った。5本立ての時もあった。映画を観終わって始発で帰る。夏場は映画館を出ると外は明るいので徒歩で帰宅したこともあった。眠いけれど気持ちのいい朝だった。
余談だが、文芸坐の隣は文芸坐ル・ピリエという小劇場だった。浅川マキさんのライブに何度か行った。文芸坐のライブでゲストに原田芳雄さんが出演した時のことは忘れない。二人とも故人になってしまった。そして、文芸坐も文芸坐ル・ピリエもなくなってしまった。
椎名町駅近くに住んでいたのは1年間だ。その後、吉祥寺に引っ越しても文芸坐には通い続けたが、吉祥寺のジャズ喫茶に通うようになってから徐々に足が遠のいた。それから10年周期位で映画がマイブームになる。今度は第四次マイブームになるかも知れない。文芸坐から新文芸坐に代わっても何故か落ち着く場所なのだ。なかなかに妖しい地帯の映画館だけれどね(笑) また今週末も行こう!
ちなみに、今月25日(日)の「ベイビー・ドライバー 爆走絶叫上映」のチケットは完売したそうだ。チケットは早々にゲットしてある。どんな上映会になるか楽しみだ。
【映画 No.054】
老後は毎日映画を観て暮らしたい。本気でそう思った三連休だった。そんな日が来るかしら…
【映画 No.055】
仁と義の映画@新文芸坐
監督/脚本:原田眞人 原作:司馬遼太郎 製作:市川南、佐野真之 出演:岡田准一、役所広司、有村架純、平岳大、東出昌大 配給:東宝、アスミック・エース 公開:2017年 上映時間:149分 製作国:日本 |
監督/脚本:北野武 製作:森昌行、吉田多喜男 出演:ビートたけし、西田敏行、大森南朋、ピエール瀧、大杉漣 配給:ワーナー・ブラザース、オフィス北野 公開:2017年 上映時間:104分 製作国:日本 |
【映画 No.056】
空海 KU-KAI 美しき王妃の謎@MOVIX川口
ベイビー・ドライバー 爆走絶叫上映@新文芸坐
ベイビー・ドライバー 爆走絶叫上映@新文芸坐
原題:妖猫傳 Legend of the Demon Cat 監督/脚本:チェン・カイコー 原作:夢枕獏 製作:角川歴彦 出演:染谷将太、ホアン・シュアン、阿部寛、チャン・ロンロン、松坂慶子 配給:東宝、KADOKAWA 公開:2017年 上映時間:132分 製作国:中国・日本合作 |
原題:Baby Driver 監督:エドガー・ライト 製作:エドガー・ライト、ナイラ・パーク、ティム・ビーバン、エリック・フェルナー 出演:アンセル・エルゴート、リリー・ジェームズ、ケビン・スペイシー、ジェイミー・フォックス、ジョン・ハム 配給:ソニー・ピクチャーズエンタ 公開:2017年 上映時間:113分 製作国:アメリカ |
【映画 No.057】
あゝ荒野(前篇・後篇)@新文芸坐
監督:岸善幸
原作:寺山修司
脚本:港岳彦、岸善幸
企画:河村光庸
製作:河村光庸、瀬井哲也
プロデューサー:杉田浩光、佐藤順子
出演:
菅田将暉(沢村新次/新宿新次)
ヤン・イクチュン(二木建二/バリカン建二)
木下あかり(曽根芳子)
モロ師岡(二木建夫)
高橋和也(宮本太一)
でんでん(馬場)
木村多江(君塚京子)
ユースケ・サンタマリア(堀口/片目)
製作年:2017年
製作国:日本
配給:スターサンズ
上映時間:前篇;157分 後篇;147分
映倫区分:R15+
(前篇:あらすじ)
2021年。新宿歌舞伎町。少年院から出た新次。復讐の相手・裕二はプロボクサーになっていた。韓国生まれ、吃音で、対人恐怖症の建二。父親の暴力で家を出る。新次と建二が偶然に出会う。二人はボクシングジムをやっている片目の勧誘でボクシングを始める。新次はプロボクサーになり裕二を倒すことを誓う。新次のリングネームは新宿を縄張りとしているから「新宿新次」。建二のリングネームは散髪屋に勤めているから「バリカン建二」。新次は年上の建二を兄貴と呼んだ。建二は新次に心を開いた。
(後篇:あらすじ)
2022年。新次は宿敵裕二に勝利する。新次の闘志を見るうちに建二は新次と戦いたくなる。同じジムにいては対戦は叶わないので建二はジムを移籍する。建二は連勝を続けた。そして、ついに新次VS建二の対戦。建二は何度もダウンした。新次は「兄貴!立てよ!兄貴!」と叫んだ。健二は立ち上がった。そして決定的なパンチを受けた建二は二度と立つことはなかった。健二は死んだ。そして、新次は廃人になったような目で……何を見たのだろう。あゝ荒野
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登場人物の「繋がり」が面白い。新次と建二。新次の自殺した父親と建二の父親。新次と彼女。彼女の母親と片目。新次の母親とジムのオーナー。偶然ではあり得ない「濃い」繋がりだ。
日本アカデミー賞最優秀主演男優賞は菅田将暉(新次)だった。文句はないが、ワタシならヤン・イクチュン(建二)にも同賞をあげたい。吃音でうまく話せない建二だが松田聖子の「あなたに逢いたくて」を見事に歌った。「兄貴!スゲェじゃん!!」と新次。ほとんど笑わない建二が恥ずかしそうに笑った。このシーンは泣けた。
それにしても、監督は何故、東京オリンピックが終わった2021年に設定したのだろうか? 映画は、新次と建二の交友・成長を軸にして、高齢化社会、介護問題、消えない3.11の爪痕、原発問題、自殺志願者の増加などの社会問題を描いている。
つまり、監督は「何がオリンピックだ!そんなもんやってる場合か?!バカヤロー!」と言いたかったのだ、と勝手に解釈している(笑)
【映画 No.058】
王家衛4本立て@新文芸坐
オールナイトで映画を4本観た。ウォン・カーウァイ監督作品4本である。今までウォン監督の作品は「ブエノスアイレス」しか観たことがなかった。
ウォン監督は映像作家だと思う。映画の舞台が汚いところだろうが、殺風景なところだろうが、人物だろうが、静物だろうが、その一瞬一瞬を切り取って額に飾ってもいいほど美しくスタイリッシュに描いている。美術館で絵画を鑑賞しているような気分にさせられる。今回、4本まとめて観て、その色彩と構図に魅せられた。
【映画 No.059】
週プレ劇場@週プレ酒場
先日(3/15)、話題の映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」オリジナル・サウンドトラック発売記念のイベントに行ってきました。監督の冨永昌敬さん、原作の末井昭さん、爆発したお母さん役の尾野真千子さん、そして、音楽とアラーキー役で出演している菊地成孔さんによるトーク・イベントでした。
菊地さん「出演したことを今でも後悔している」、冨永監督「菊地さんが出たそうにしていたから」、二人の見解は正反対です(笑)
サントラでは尾野さんと末井さんがデュエットしています。「山の音」(作詞/作曲:菊地成孔)という曲です。菊地さんの出演については映画音楽史上前例のない原作者と主演女優がデュエットすることが条件だったそうです。
尾野さんの歌については「ほぼほぼ無修正」だったそうですが、末井さんの歌については「最先端のコンピューター技術を駆使した大手術」だったそうです。
発売されたばかりのCDに冨永監督、末井さん、菊地さん、そして、オーケストレーションを担当した小田朋美さんのサインをいただきました。
【映画 No.060】
昨年の20世紀FOX2本@新文芸坐